山田 ヨシヒコ 
南の魚は旨味が凝縮された格別な味わい
沖縄の魚はあまり美味しくないのではないか、というご意見を耳にすることがあります。
特に、沖縄周辺の海で獲れる、鮮やかに青く光りその姿も特徴的な、アオブダイやイラブチャーは、
「美味しくないのでは？」「食用ではないのでは？」
と感じる方もいらっしゃるようです。
中には、内臓に猛毒も持っている魚もいて、プロにしか調理できないということも、敬遠されやすい理由かもしれません。
見た目はちょっとグロテスクな魚たち。
でも実は、お刺身でいただくと、淡白な味ながら甘味があり、また歯ごたえがあり、とても美味しいのです。
白身魚なので煮つけやフライとも相性が良いです。
ほかにも沖縄の三大高級魚というものがあります。
・尖閣諸島で獲れる、「南洋のルビー」とも異名がつくほどに真っ赤に光り輝くハマダイ
・祝い事にも使われるスジアラ
・体が青ー黄のグラデーションになっているシロクラベラ
総じて、私は沖縄の魚はとても美味しいと思います。
石垣島はクロマグロの産卵場
マグロの産地はときくと、沖縄県を想像する方は少ないと思いますが、実は、石垣島はクロマグロの産卵場です。
石垣島の近海は黒潮が流れる漁場であり、年間を通してさまざまなマグロが水揚げされます。
石垣のクロマグロは、特に赤身の部分はほどよく熟成させることで旨味が引き出され、格別の味わいになります。
かつて石垣島では、少し生ぬるい刺身が提供されていた時期があり、それが「美味しくない」という印象につながった可能性もあると考えています。
現在では、温度管理の技術が大きく進化しており、魚本来の味をしっかりと楽しめるようになっています。
沖縄の魚文化は私の人生に欠かせない海の恵み
沖縄近海は高級魚の宝庫です。
亜熱帯特有の色鮮やかさで味も個性がある美味しさ。
１年の3分の1を海沿いの街や島で過ごす私にとって、南国の魚は生活に欠かせない海の恵みです。
沖縄の魚は本州にはなかなか流通しないので、沖縄旅行の醍醐味として味わっていただくのも良いのですが、もっと全国の人たちに知ってもらうことができないかずっと考えています。
そして、この素晴らしい海の恵みは、島を守る人たちによって成り立っていることを忘れてはいけません。
日本がどれだけ海洋資源に恵まれているのかを多くの人に伝えていき、海を守る重要性を訴えていきたい。それが私の役目だと思っています。