「狭い島国」ではない日本——海の広さは国土の12倍、世界6位の海洋国家
多くの日本人は、自国を「狭い島国」だと考えがちです。しかし、海の領域まで含めると、その姿は大きく変わります。
日本の排他的経済水域(EEZ)は約447万平方キロメートルにのぼり、国土の12倍、世界第6位の広さを誇ります。さらに、海の深さを含めた海水の体積では、実は世界第4位。日本は世界有数の「海洋大国」なのです。
日本の排他的経済水域(EEZ)とは、沿岸から最大200カイリ(約370km)の範囲で、漁業や海底資源の開発などに対して、その国が独占的な権利を持つ水域です。領海と公海の中間に位置し、資源利用は独自に行える一方で、航行などは国際的に自由という性格を持っています。日本はこのEEZを広く、かつ多様な地形で保有しており、その潜在力は非常に大きいと考えています。
海の底には天然ガス94年分!日本周辺に眠る資源と食料のポテンシャル
この広大な海域には、計り知れない可能性が広がっています。たとえば、メタンハイドレートやレアメタル、海中ウランなど、将来のエネルギー供給源となる資源が存在します。
また、日本の沿岸は「世界三大漁場」の一つであり、世界中の海洋生物の14.6%、実に33,629種もの生物が確認されている、まさに“生命の海”です。
これらを活用すれば、エネルギーや食料の自給率向上にもつながり、日本の暮らしを支える基盤になると考えています。
技術で切り拓く——「海の農地」と再生可能エネルギー
私は、日本独自の技術を活かした海洋資源の活用に、大きな可能性を感じています。
たとえば、深層水と表層水の温度差を利用する発電は、日本近海の地形に適しており、
安定した再生可能エネルギーの供給源となります。
また、海藻を育てて燃料を生み出す「海の農地」の取り組みも進みつつあり、資源と環境の両立に資する新たなモデルとして注目されます。
これらを通じて、エネルギーと食料の自給率を高め、日本の暮らしを支える持続可能な基盤を築いていけると考えております。
「海を守り、いかす」国家へ 国際社会での役割を果たす
近年、中国は狭いEEZの地理的制約を補おうと、国際的な海洋秩序への挑戦を強めています。日本がただ現行制度を守るだけでは、世界的な主導権を維持することは難しくなってきています。
そのため、日本は国際法に基づく新たなルールづくりに積極的に関わり、国際社会で信頼に足る海洋国家としての役割を果たす必要があります。
広大なEEZと豊かな資源を活かしながら、平和的かつ戦略的に未来を築く――
「海を守り、いかす国家」としての姿勢を、今こそ明確にする必要があります。