6月25日は「船員の日」

6月25日は「船員の日(Day of the Seafarer)」です。

この日は国際海事機関(IMO)により制定されました。世界中の海を行き交い、私たちの暮らしを陰で支える船員の方々への感謝と敬意を表す日です。

日本は四方を海に囲まれた海洋国家。

日本は輸出入の約99.6%を海運に依存しており、私たちの暮らしを支える食料、エネルギー、日用品の大部分が船によって運ばれています。

また国内においても、セメントや鉄鋼、石油製品など産業に不可欠な物資の80%以上が内航船によって輸送されています。

つまり、船こそが日本の経済活動を根底から支えているのです。

そして、それを支えているのが、昼夜を問わず働く船員の皆さんの努力と技術です。

私自身、長年にわたり海洋政策に関わってきましたが、海運の安定を語るとき、最も重要なのは「海で働く人々の安全と生活」だと考えています。

海上輸送の安全は、防衛力や外交力だけで守られるものではありません。船上で働く一人ひとりが安全に、そして安心して職務に専念できる環境を整えることが国家の責任です。

長期間の航海で家族と離ればなれになる船員の皆さん、荒天の中でも責任を全うする皆さん、そして時には危険な海域を航行する皆さんの労働環境改善と安全確保に、私たちはもっと真剣に取り組まなければなりません。

日本の未来を考える上で、海上交通路の安全確保と同様に、海を支える人材の保護と育成が重要です。船員の労働環境改善、若手船員の確保・育成、そして海事産業全体の持続可能な発展に向けた取り組みを、政策として推進していく必要があります。

この「船員の日」にあらためて、海の現場に思いを馳せ、現場の声に真摯に耳を傾ける政治を心がけてまいります。

船員の皆さん、いつも本当にありがとうございます。

この記事を書いた人

山田 ヨシヒコ

学習院大学経済学部を卒業後、東洋信託銀行㈱にて都市開発および債券トレーディングを担当。
その後、財団法人日本船舶振興会に勤務し、海洋問題や造船技術開発を担当。2009年に東海大学教授に就任し、2019年から2023年まで、東海大学学長補佐・静岡キャンパス長を務める。国土交通省や東京都をはじめ、各機関において政策アドバイザーを歴任。